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外反母趾
足の親指が外側にくの字に曲がり歩行しずらくなったり、痛くなったりします。
西洋医学的には治療がなかなか難しいことで、酷い人は靴が履けずサンダルで歩く程です。
これは女性に多く決して高いハイヒールを履いているせいではありません。
東洋医学的に診て経絡の流注を考えると親指側(内側)は脾経が流れて、小指側(外側)は肝経が流れています。
つまり脾経側が弱く、肝経側が強く引っ張られている状態と考えます。
正常であれば内側も外側も同じ力で支えているわけですから、真っすぐな状態になる訳です。
では何故脾経側が弱くなったのか、それは胃との関連で、脾と胃は五行でいうと土に属します。
胃で消化した物質は、脾により化生され栄養として全身に送られます。
つまり飲食の過不足があると脾胃に負担がかかります。
特に甘いものを取り過ぎていると、長い年月には段々と脾が弱ります。
又反対に外側の肝経は精神的ストレスがあると、怒りっぽくなり肝の虫が強くなり、
外側に引っ張られるようになります。
ですから先ず飲食の摂りすぎに注意し、心穏やかにすることです。
治療は弱った脾を補い、興奮した肝を抑える事により、左右のバランスがとれ段々と回復してきます。
長期間かかってなったものは、それなりに時間がかかるのはしかたありません。あきらめないことです。
腹痛の症例
平成30年5月21日 60歳代 男性 腹痛
今朝から腹部全体が痛い、他は特になし。
診ると手足冷たく、赤ら顔、両腎水冷え特に左側、16椎下圧痛、左心兪1行圧痛。
下半身冷えて上半身熱く、上下のバランスが何かの原因で崩れた為に、腹部が冷えて痛んだためと思われる。
治療
左心兪1行5分位で汗が出始め、15分位で痛みは半分以下になり、次の日にはほぼ完治する。
ツボの効用 合谷
手の第一指と第2指の間の陥凹部にとる。ここは大腸経上のツボで、一般には気を動かすのには良いです。
気つけとか、正気が弱った時にここに刺激をします。歯痛とか、邪気を散らしたり、
生理前とか腹痛にここに鍼をすると楽になります。風邪で喉痛の場合、ここに親指で圧迫すると良いです。
又上に上がった気を下に降ろすのにもいいです。病の始めは気が滞る事が多いので、先ず気をめぐらすことを
考えると合谷が最良かと思います。常に気が廻っていれば、次の悪い段階には進まずにすみます。
逆子の症例
逆子 平成30年1月26日 39歳 初産
33周目に来院 胎動はあるがなかなか治らず、他に便秘気味、腹の張り、就寝中全身に力が入る。
肝腎陽虚としてお灸で三陰交、右至陰に5壮、2回目に命門に20壮、右至陰に10壮、3回目に命門に50壮、百会に10壮し次の日に治る。その後安産の為にお灸を、週1回のペースで4回治療し、予定日に無事出産しました。
花粉症診察
平成30年2月14日 女性 9歳
3歳頃より春秋に目のかゆみ、鼻水が出、温度差でも鼻水が多く出る。夜中も鼻をかむ為屑かごが鼻かみでいっぱいになる。又、春秋の夜中に鼻血が出ひどいと10分位止まらず。緊張すると腹が痛くなり下痢気味になる。寒くても下痢になる。診ると、背部右側、肝兪、腎兪付近が左より硬い、右脾兪も硬い、頸部の張り、足左太衝に圧痛、腹部左側張りくすがる。舌診は全体に紅点がある。
肝脾陰虚と診て、打鍼にて右肝兪、左太衝に瀉法、1回の治療で鼻水あまり出ず、3回でほぼ完治。
花粉症は春の肝木が強くなりすぎ、逆に脾土が弱くなるパターンなので肝木を叩く事が第一となります。
常に食べ過ぎに注意し、胃に負担をかけないことが大事かと思います。
花粉症
20年1月30日 花粉症 7歳 女性
目のかゆみ、鼻水がひどく1週間続く、他に食物アレルギーがある。バナナ、カニ、メロン、牛乳、キューイ、ナッツ類に反応。ツボ反応として、右肝兪、右脾兪、右腎兪、左内庭、左太衝に圧痛があり肝気上昇と脾陰虚とみて、先ず肝を叩くことにする。
打鍼術で右肝兪、左太衝に瀉、そして脾陰虚の治療で右脾兪、左内庭に瀉同時に治療3回でほぼ花粉症は完治する。現在は食物アレルギーの治療を継続中。
腰の張り
平成30年1月 30代男性 腰の張り
スノーボードを10回位滑っていたら、腰がだんだん張るようになり、前屈、後屈共充分に伸びず辛い。
他の症状は特になし、診察所見では両足の内側,曲泉、両肘の外側上方、天井に圧痛あり。
腰背部に張りがある。他には特になし。
治療は左曲泉に鍼3番でやや強めに刺し10分位置鍼。直後前後屈すると8割以上良くなる。
これらは腰特に腎に負担がかかりすぎた為、尺膚診で診ると手足の下の部分、関節は腰腎に相当する部分なので
腎が弱り気血の流れが悪くなり筋肉が硬直した為とおもわれました。
小児鍼
人間は陰陽のバランスが保たれている状態が健康と言われています。人間は四足動物の状態から考えると、
日が当たる表の腰背の部分が陽で、裏の日の当たらない影の部分が陰です。小児は陰陽でいうと陽の塊です。
小児は発育か゛非常に速いので、陽が盛んになり体が大人より暖かいのです。
小児が眠い時は手のひらが暖かくなります。手のひらは陰で夜も陰なので、陰に向かっていくので暖かくなります。
夜泣き、癇の虫は陽が盛んになりすぎた興奮した状態なので、陰でもある金属の冷たい鍼で刺激をして、
熱を取ってやると落ち着きます。陰陽のバランスを保つことが大事で、大人も同じ事、病気は結局陰陽の
バランスが崩れ、陽に傾くか陰に傾くかで、それが極端になると死となります。
小児は回復が早いので、癇の虫に限らず、下痢、便秘、腹の調子が悪い時にも非常に効果的なので、
時々鍼治療をしていると、毎日元気に過ごすことができます。
疳が強いで来院された症例
平成29年7月 5歳の女の子
主訴 疳が強い 2歳頃より泣きながら寝る事が多く、気に入らないことがあったり、うまく物事がいかないときは怒りやすく、母親に殴ったりすることもある。寝言もひどく毎日ある。特にここ1カ月ひどい。 大便 2~3日に1度、体表観察、両脾募邪、胃土邪少しあり、足の胃経張りあり、上背部張り、臍上向き。
治療 肝の緊張と胃の働きが弱いので、肝を抑え胃の働きを高めるように治療。鍼で百会、左足三里、散鍼で右脾募、背部、ゴウ鍼で左肝兪 計8回で段々と落ち着き、寝入りも良くなり寝言もなくなる。元々肝気が強い方で、母親も同じで直ぐに気が上昇しやすく、なかなか 下へ下がらない。治療は散鍼で少しは良かったが、左肝兪に鍼を斜刺してから良くなる。1か月半かかった。
アトピー性皮膚炎治療後改善
24年7月、8歳女 アトピー性皮膚炎
生後10カ月頃、蜂蜜入りプリンを与えたら全身がパンパンに腫れ湿疹がでる。
その後、卵ピーナツを食べるとかゆくなり、汗をかいてもひどくなり、かけばかくほどひどくなる。
冬はどちらかというと良い。甘いもの、菓子類が好きでそれらを食べると痒くなるので、控えるようにいうが、子供なので食べてしまう。
クリスマスの時食べる機会が増え、これではまずいと、本人が意識し控えたところ、ずっと良くなり出す。
来院時は特に両膝裏、肘の回りがひどく赤くガサガサしていた。
1年中ひどく常に手で掻いてしまうので何とか治したいとの事。
治療
脾虚湿熱があり、熱を取り脾を回復させることを目標に鍼治療する。
同時に甘いものを控え食べすぎないことに注意するように伝える。
背部散針、井穴鍼、兪穴等その都度穴を変えながら、少しずつ効果が表れ、約3年半治療、
その後来院せず1年後に母親が来て、ほとんど良くなったとの事。
この症例は飲食の不摂生がなかなかやめられず、治療が長引いてしまったことは残念でした。
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